Unboundedly

日々大学院で学んだこと、考えたことを更新

因果効果のメカニズムを検討する:媒介分析(Causal Mediation Analysis)入門②~反事実モデルに基づく媒介効果の定義~

媒介分析シリーズ、第二段です。前回は、よく使われる媒介分析の手法の問題点についてまとめました。 今回は、これらの問題を克服するべく考案された因果媒介分析(Causal Mediation Analysis)を紹介するイントロとして、そもそも「媒介効果」なるものをどう…

データから因果関係をどう導く?:統計的因果推論の基本、「反事実モデル」をゼロから

データに基づく因果推論がどのように行われるのか、詳しく説明していきます。因果の定義、因果推論に必要な条件、RCTの意義などいろいろまとめていたら、例のごとくすごいボリュームになってしまいました。なお、本記事で使われる用語は、「疫学」の因果推論…

因果効果のメカニズムを検討する:媒介分析(Causal Mediation Analysis)入門①~既存の手法の問題点~

お久しぶりです。無事に博士課程の進級試験(qualifying exam)を通過しましたので、ようやく長かった二年間のコースワーク期間が終わりました。まだ口頭試験がありますが、これからやっと研究に集中できるフェーズに入ります。同時に時間にも余裕ができてき…

炭水化物は体に悪い?脂質をたくさん摂るほど健康に良い?:2017年世界一に選ばれた科学論文を解説

久しぶりのブログ更新です。今回は、「炭水化物を摂取すると死亡率があがる」「脂肪はたくさん摂っても死亡率に影響がない」ことを示したとして2017年世界中で話題になった以下の論文について、論文自体の問題点やメディアで取り上げられている内容の誤りに…

「交互作用」とはなにか:介入効果が一様でないときの統計手法~その目的と分類、解釈~

今回は「交互作用(interaction)」と呼ばれる概念について書いていきます。端的に言えば、”人によって効果が違う”という現象を見る統計学の考え方だと思います。例えば「薬Aが病気Dのリスクを10パーセント下げる」といったとき、実はその薬は女性では効果が…

観察データを用いた因果推論で生じるバイアスの程度を考える:感度分析(Sensitivity analysis) & "E-value"入門

さて、今回からイデオロギー色の少ないブログ活動に戻ります。前回の受動喫煙に関する記事の中で、「感度分析("Sensitivity Analysis")」というテクニックを紹介しました。 どうも私の言葉足らずか、このテクニックに関して多くの方に誤解と混乱を招いたよ…

受動喫煙防止法について論点整理②:サイエンス × 価値観 ≒ 政治でつくるザッカーバーグ的理想世界

なんだか壮大なタイトルになりました(笑) 前回は「受動喫煙による健康影響・死亡数」なるものがどうやって計算されていてるか、どの程度信用できる数字なのかについて整理しました。この辺りは、私の専門性が少しだけ活きてくる部分であり、(少なくとも私が…